- しり
- I
しり【尻・臀・後】※一※ (名)(1)四足動物の胴の後肢の付け根の後方, 肛門のあるあたりで, 肉が豊かについているところ。 臀部(デンブ)。 けつ。 おいど。 いしき。(2)空間的または時間的に順序をなして続いているものの, 最後の部分。 後尾。 しまい。 うしろ。⇔ あたま「行列の~につく」「言葉の~」(3)上と下, 前とうしろ, 本と末, 頂と底のあるものの, 下・うしろ・末・底の部分。
「縄の~」「なべの~」
(4)あとに残った, 処理しなくてはならない懸案。 あと始末。「不始末の~を持って行く」
(5)(「じり」の形で)名詞の下に付いて複合語をつくる。 (ア)ものの一番終わり, または終わりの部分をいう。「幕~」「帳~」「言葉~」(イ)「帳尻」の略。 「貿易~」
※二※ (接尾)助数詞。 矢羽に用いる鳥の羽を数えるのに用いる。 尾羽を用いるところからいう。 大ワシは一四枚, 小ワシは一二枚, タカは一〇枚で一尻という。「紺の布百反, 鷲の羽百~/義経記 7」
~が青・い〔幼児の尻が青みがかっていることから〕未熟で, 一人前でない。「まだ~・い若者」
~が暖ま・る長い間同じ所に落ち着いている。 しりがぬくもる。~が重・い身軽に立ち働かない。 また, 動作が鈍い。~が軽・い(1)動作が敏捷(ビンシヨウ)である。(2)軽はずみな行動をする。(3)女が浮気である。~が来る苦情や談判を持ち込まれる。 他人の尻ぬぐいをする羽目になる。~がこそばゆ・い何となく落ち着かなくて, そこから立ち去りたい気持ちだ。 きまりが悪い。「むやみにほめられて~・い」
~が長・い話し込んでなかなか帰らない。 長居をする。 長尻である。~から抜・ける見聞きしたことをすぐに忘れる。~が割・れる悪いたくらみが露見する。 秘密がばれる。「以前放蕩の~・れて, いまでは借金で首がまはらず/当世書生気質(逍遥)」
~に敷・く妻が夫を軽んじて, 自分かってに振る舞う。「亭主を~・く」
~に火がつ・く物事が身近にさし迫ってきている。~に帆(ホ)を掛・けるあわてて逃げ出す。~の毛まで抜か・れる何も残らなくなるまでだまし取られる。~の毛を抜・く他人の油断している間に出し抜く。~も結ばぬ糸〔糸尻に玉結びをしていない縫い糸の意から〕しまりのないこと。 けじめのないこと, また無責任なことのたとえ。「~をいやるな。 それはあとへぬけ事/浮世草子・俗つれ 4」
~を上・げる訪問先を辞去する。「なかなか~・げようとしない客」
~を落ち着・けるその場所に長くとどまる。 尻を据える。 腰を落ち着ける。~を絡(カラ)・げる着物のすそをまくり上げて帯にはさみこむ。「~・げて逃げ出す」
~を据(ス)・える(1)落ち着いてすわり込み, 立ち去らない。(2)本気で物事に取り組む。「~・えてかかる」
~を叩(タタ)・く(1)やる気を起こすように励ます。(2)実行するように催促する。 けつをたたく。 尻をひっぱたく。~を拭(ヌグ)・う他人の失敗などの後始末をする。 しりぬぐいをする。~を端折(ハシヨ)・る(1)着物のすそを折って帯にからげる。(2)物事の終わりを簡単にする。 簡単に切り上げる。~を振・る自動車を運転中, ハンドル操作とかかわりなく車体後部が左右に揺れる。~を捲(マク)・るそれまでの穏やかな態度を変えて, 急に強い態度に出たりけんか腰になったりする。 居直る。 けつをまくる。~を持ち込・む問題の後始末をせまる。~を割・る悪事のたくらみなどを露見させる。 悪事を暴露する。 けつを割る。IIしり【私利】自分の利益。III「~に目が眩(クラ)む」「~私欲」
しり【至理】しごくもっともな道理。 最高の理。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.